記事;学校教育法改定案 デジタル教科書導入へ 使いやすさに危惧の声

学校教育法改定案 デジタル教科書導入へ 使いやすさに危惧の声
点字毎日 2018年4月1日

政府はタブレット端末などで利用できる「デジタル教科書」を正式な教科書と位置づける学校教育法などの改正案を閣議決定した。通常国会での成立を目指しており、2019年4月1日からの施行が見込まれている。【山縣章子】

文部科学省によると、現在は教科書は紙であることと定められており、デジタル教科書は副教材の位置づけだ。改正案では、視覚障害や読み書きに課題があるなどして、紙の教科書を読むのが難しい児童・生徒は、全ての授業でデジタル版が使えるようになる。デジタル教科書の内容は、検定済みの紙の教科書と同じ。文字の大きさを拡大できたり、音声読み上げの機能が加わることで、学習支援につながることが期待される。

ただ、改正案が成立しても、デジタル教科書を使うかどうかは学校や教育委員会の判断となる。紙の教科書は引き続き国が無償提供するものの、デジタル教科書を読むためのタブレット端末や教科書のコンテンツなどの費用負担を誰が担うのかといった課題は残っている。一方、デジタル教科書が障害のある子供たちにとってアクセシブル(使いやすい)かどうかについては、危惧する声もある。デジタル版は各教科書会社が独自開発してきており、閲覧システムは統一されていない。マルチメディアデイジーの開発に携わってきたNPO法人支援技術開発機構の河村宏副理事長は「授業で教師が教科書を使って読むべき場所を指示した時、デジタル教科書で必要なところに効率よく移動する『ナビゲーション』の仕組みが不十分だと、授業についていけない可能性がある。文科省はアクセシブルな教科書に求められる機能を示すとともに、実際に障害のある子供たちが使えるものになっているかどうかを急いで検証する必要がある」と指摘する。

同省が2月末に発表した「学校における教育の情報化の実態などに関する調査結果」によると、昨年3月1日現在、教師が授業で使うデジタル教材が学校にあると答えたのは、小学校は約52%、中学校は約58%だが、高校と特別支援学校では約13%にとどまる。
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